グランドセイコーに寿命ってあるの?
グランドセイコーは「一生モノ」って聞いたことあるけど、本当に一生使えるの?
本記事は「グランドセイコーの寿命」について解説するものです。
「グランドセイコーは"一生モノ"」なんて言葉を耳にしますが、本当に一生使うことが可能なのか、公式サイトやマスターショップの店員さんに伺った内容を踏まえ、検証してみました。
- グランドセイコーの各モデルの寿命
- グランドセイコーを長持ちさせる方法
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1. 一生モノの定義
まず、一般的に「一生モノ」とは「メンテナンス次第で長く使える良品」を指します。
電池切れや修理可能な故障は寿命とみなしません。
また、「長く使える」についてですが、本記事では、50年間使うことが出来るものを「一生モノ」と定義して解説していきたいと思います。
例えば、25歳で購入した場合、75歳まで使うことができる計算ですね。
さて、「一生モノ」の定義も決まったところで、気になるグランドセイコーの寿命ですが、「動力源」によって異なります。
クオーツ式、機械式、スプリングドライブの順に見ていきましょう。
2. クオーツ式モデルの寿命
まずはクオーツ式モデルからみていきましょう。
クオーツ式とは
そもそもクオーツ式ってなんだっけ?
クオーツ式とは以下のような時計ですね
電圧を加えると一定の周期(=毎秒3万2768回)で振動する水晶の性質を利用しており、電子回路が振動を電気信号に変換し、モーターが針を動かすという仕組み。電池式とも呼ばれる。
世界で使われている腕時計のおよそ97%が「クオーツ式」と言われています。
クオーツ式の寿命
本題のクオーツ式時計の寿命ですが、それは「電子回路が交換不能になった時」と考えられます。
電子回路はおおよそ10年程度で故障するといわれています。
修理、交換するためには部品が必要になりますが、汎用的なものではないため、メーカーであるセイコーが部品を保有している必要があります。
そこで登場するのが「部品保有期間」という考え方です。
この期間はメーカーやモデル毎に異なり、公表されているグランドセイコーの部品保有期間は10年です。
この部品保有期間を過ぎると交換する部品が無くなってしまうため、修理が不可能となり、寿命を迎えることになります。
え?クオーツ式は10年しか使えないの?
そんなことはありませんよ。これから説明していきますね。
10年といっても購入時点からではなく、その起点は生産終了時点となりますので購入後10年が寿命ということではありませんよ。
また、たとえデザインが変わっても中身の部品が同じであれば、生産終了という訳ではありません。
例えば、私が2011年に購入した「SBGT037」というモデルはグランドセイコーのロゴが2017年に変わったので、既に同じものは販売されていませんが、中身の部品は販売中のモデルと同じなので、まだ「生産終了」ではありません。
なので、私のケースで考えると、2011年に購入し既に10年が経過していますが、中身の部品は現役(生産中)なので、最低でもあと10年間(購入後20年間)は使用する事ができます。
ちなみに私が購入した「SBGT037」は、2021年4月現在、16万円台から中古品を手に入れることができるようです。良ければ、下記のリンクからチェックしてみてください。
また、マスターショップの店員さんに伺った話だと、1960年代製造のモデルは修理を断るケースがあるそうです。
しかし、それ以降に製造されたモデル(クオーツ式)については2021年現在でも原則修理を受け付けているとのことでした。
これらの状況を踏まえると、生産終了のタイミングにもよりますが、寿命が短いと言われるクオーツ式であっても、50年くらいは修理可能(=寿命50年!)と予測することができます。
・グランドセイコーのクオーツモデルは一生モノ認定!
3. 機械式(メカニカル)モデルの寿命
続いて、機械式モデルについて解説していきます。
機械式(メカニカル)とは、巻き上がったぜんまいの解ける力を動力源としており、手巻き式と自動巻き式の2種類があります。
グランドセイコーに限らず、機械式はクオーツ式よりも寿命が長いと言われます。
その理由は、機械式はメーカーの純正部品でなくとも修理できることが多いからです。
へ~。機械式は、クオーツ式と違って、純正部品でなくても修理できるんだ。
そうです!そこが最大のポイントです!!
そのため、クオーツ式時計のように寿命が部品保有期間に左右されません。
なお、グランドセイコー(機械式)の部品保有期間はクオーツと同じく10年です。
故障しても部品の修理が可能なため、より長く使用することができます。
よって、機械式(メカニカル)モデルは50年以上使い続けることも可能といえます。
イニシャルコスト(購入費用)とランニングコスト(オーバーホール料金)はクオーツ式に比べ高額ですが、「(お金はかかっても)私の人生の相棒として、50年以上絶対使いたいんだ!」という強い意志の方には機械式がおすすめです。
・グランドセイコーの機械式モデルは一生モノ認定!
(ただし、メンテナンス費用もそれなりにかかります)
4. スプリングドライブモデルの寿命
最後にスプリングドライブについてです。
スプリングドライブとは、機械式と同じく、"巻き上がったぜんまいが解ける力"を動力源としていますが、機械式と異なるのは、ぜんまいの解けるわずかな力を電気エネルギーに変換し、その電気エネルギーを使ってクオーツ式(電池)のメカニズムを駆動させていることです。
それにより、針の回転速度を正確に制御し、クオーツ式のような高い精度を実現しています。
スプリングドライブの概要は上記のとおりですが、要するに機械式とクオーツ式の「良いとこどり」をした駆動方式と言えます。
なお、スプリングドライブについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてお読みください。
スプリングドライブはセイコー独自の動力方式であり、クオーツ同様、メーカー純正部品による修理が必要になる可能性が高いです。
スプリングドライブ自体の歴史が浅いため断定はできませんが、2004年に販売開始され、現在も販売中ですので、現行モデルについては最低でも30年以上は修理可能と言えるでしょう。
(もっともスプリングドライブはセイコーが最も力を入れている技術であり、生産終了する可能性は低いと考えられますので、50年くらいは使えるのではないかと個人的には考えています)
・グランドセイコーのスプリングドライブモデルはまだ一生モノ認定はできず(誕生からの歴史が浅いため)
5. 動力源別寿命まとめ
以上、グランドセイコーの寿命を動力源別に解説してきました。
結果のまとめは下表のとおりです。
<動力源別寿命>
クオーツ式 | 機械式 | スプリングドライブ | |
推定寿命 (筆者調べ) | 50年程度 | 50年以上 | 最低30年 (歴史浅く、なんとも) |
グランドセイコーを長く使っていく上では、寿命という概念も非常に重要です。
どのモデルにするか検討する際は寿命についても確認しておこう!
なお、グランドセイコーの各モデル(クオーツ式、機械式、スプリングドライブ)について、より詳しく知りたい方は以下の記事をあわせてお読みください。
(番外編)少しでも長く使い続けるために長持ちさせる方法
グランドセイコーは基本的には長く使えるものになっていますが、人生の相棒としてケアをしっかりしてあげると、より長い期間使うことができます。
グランドセイコーを少しでも長く使い続けるために、日頃から心掛けるべきポイントをご紹介します。
クオーツ式、機械式、スプリングドライブ式いずれの時計にも共通して言えるポイント
① こまめに皮脂汚れや水気を拭き取る
② スマホやPCに近づけない
③ 定期的にオーバーホールを行う
① こまめに皮脂汚れや水気を拭き取る
腕時計は直接肌に身に付けるものです。そのため、ベルトなどの隙間に汚れが溜まり、放っておくとサビてしまう事があります。そこで、使用後に柔らかい布で汚れをふき取ることを習慣づけましょう。
きめの粗い布で拭くと傷がつく恐れがあるので天然皮革を使用した「セーム革」やマイクロファイバーを用意するのがマストです。
② スマホやPCに近づけない
腕時計は精密機器です。磁気の影響を受けると故障の原因になるため、家電製品やパソコン、スマホから15センチ以上離して保管してください。
③ 定期的にオーバーホールを行う
機械式やスプリングドライブはもちろんのこと、クオーツ式であっても、約5年に一度、オーバーホール(分解清掃)を行うことが、長く愛用するのに欠かせないポイントです。
その他
機械式時計のみになりますが長期間着用せずに放置していると、ムーブメント内部の潤滑油が凝固しギヤ等に悪影響を及ぼす恐れがあります。
そのため、「ワインディングマシーン」という、時計を動かしてくれる機械に入れて時計を動かしておくことで故障を防ぐことが出来ます。