1. 「白樺」とは？
「SLGH005白樺（しらかば）」は、2021年3月6日にグランドセイコーから発売された機械式時計です。
白樺林をモチーフにしたダイヤルが印象的で、2021年グッドデザイン賞を受賞しています。
SBGP013 税込7,480円/月
- 月額4,378円（税込）からグランドセイコーをレンタル可能
- 2ヶ月半額キャンペーン実施中
デザインのポイント
① 白樺ダイヤル
白樺ダイヤルは、雪白に続く独創的なダイヤルを生み出そうと、グランドセイコーのダイヤル製造技術の粋を結集して生み出されました。
機械式グランドセイコーの製造拠点である「グランドセイコースタジオ 雫石」の近くの平庭高原の白樺林をイメージした、木肌のような質感が特徴です。
平庭高原・日本一の白樺美林
久慈市OFFICIAL WEBSITE
標高800m、平庭岳の中腹に位置する広大な高原は、葛巻町との市境に広がる高原です。国道281号の両側に約4kmにわたって白樺林が続き、全体では約370haに約31万本も林立しており、日本一の白樺美林と言われています。
繊細な印象の雪白ダイヤルに比べ、白樺ダイヤルは力強い印象です。
■白樺ダイヤルができるまで
白樺ダイヤルは、数あるグランドセイコーの型打ち模様の中でもこれまでにない深い凹凸感を備えており、その深い凹凸感を作り出すために通常の７倍の時間と労力をかけて型打ちが施されています。
職人の手作業によって生み出される、光と影の絶妙なバランスを持つ白樺ダイヤルは、光の当たり加減によって様々な表情を見せてくれるのが最大の魅力です。
② ケースの低重心化
白樺に搭載された新型キャリバー9SA5は、「水平輪列構造」という新たな構造により従来のキャリバー9S85に比べて約0. 8mmの薄型化を実現させました。
さらに、ムーブメントの底面からりゅうずの中心までの距離を縮め、可能なかぎり裏ぶた側へ寄せることで、腕時計としての重心位置を下げ、より安定感のある腕なじみと快適な装着感を実現しています。
つまり、腕に着けた時のケース本体のすき間が小さくなり着け心地が良くなっています。
白樺（SLGH005）のケースの厚みは11ミリです。従来のキャリバーを搭載したモデルと厚みを比べてみましょう。
■SBGH277（キャリバー9S85搭載）
SBGH277のケースの厚みは13.3ミリです。
■SBGR315（キャリバー9S65搭載）
SBGR315のケースの厚みは13ミリです。
③ ザラツ仕上げ
ザラツ研磨による歪みのないケースが美しい輝きを放ちます。
グランドセイコーの仕上げに採用される「ザラツ仕上げ」は日本以外ではほぼ見られない技術で、海外では日本刀の研磨技術に由来するものという誤った認識をしている人も多いそうです。
エッジの鋭いグランドセイコーのケースから日本刀を連想するのも無理はないと個人的には感じますが、実際のところ「ザラツ」はかつてスイスにあった工作機械メーカー「ザラツ兄弟社」に由来します。
当初は研磨機を「ザラツ」と呼んでいたものが、やがて研磨機を使う工程そのものを「ザラツ」と呼ぶようになったそうです。
ケース平面の歪みをなくすことで平面と斜面のつなぎ目のエッジをしっかりと際立たせるのがザラツ研磨の特徴で、研磨紙を貼り付けたアルミの円盤にケースを押し当て、超平面に形成します。
仕上げの良し悪しは、回転する円盤に押し当てるときの力の強弱、その時間、スライドさせる速度などの要素の組み合わせによって決まりますが、それらはすべて熟練した職人の手によって行われます。
キャリバー９ＳＡ５
白樺モデルには最新の「キャリバー 9SA5」という自動巻ムーブメントが搭載されています。
「キャリバー9SA5」は、テンプの振動を高速化したハイビートのキャリバー9S85や約3日間のパワーリザーブを持つキャリバー9S65を上回ることを目的に、新たにゼロベースから開発され、約９年の時を費やして2020年に発表されました。
２. 着用イメージ
実際に身につけるとどのように見えるのか、いくつかご紹介します。
王道の三針モデルはスーツとの相性が抜群ですね。
３. 詳細スペック(SLGH005)
| 品番 | SLGH005 |
| 駆動方式 | メカニカル自動巻（手巻つき） |
| ムーブメント | 9SA5 |
| ケースサイズ | 横 40mm × 縦 47mm × 厚さ 11.7mm |
| 精度 | 静的精度:平均日差+5秒～-3秒 （携帯精度:平均日差+8秒～-1秒） |
| 防水 | 日常生活用強化防水（10気圧） |
| 重さ | 178.0 g |
| 価格 | 1,045,000円（税込） |
後述しますが店頭では品薄でなかなかお目にかかれないので、すぐに手元に欲しいという方は中古という選択肢もあります。運が良ければ98万円前後で販売されています。
４. グッドデザイン賞受賞
SLGH005（白樺モデル）は2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。
グッドデザイン賞は日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の運動です。世界でも有数の規模と実績を誇るデザイン賞として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加するとともに、よいデザインを社会に広める運動としても多くの人びとから支持されています。
【審査委員による評価コメント】
よほど時計に精通していない限り、一見してこの時計の凄さは理解できないであろう。審査においても資料の読み込みと、現物をしっかり見てやっと納得したというのが実情である。この時計の一番の特長であるダイヤルは、社にゆかりのある白樺林をモチーフにしたもので、日本の風土が持つ奥ゆかしい風景の豊かさを、高い技術力で狙い通りに表現している。また、針などの細部の仕上げも非常に精緻な仕上がりとなっており、それが基本機能である視認性に直結している点も高い評価につながった。
GOOD DESIGN AWARD受賞対象一覧
5. 店頭では品薄
実物を見てみたいという人も多いと思いますが、実は白樺モデルは店頭でなかなかお目にかかれません。筆者も銀座にあるセイコーブティックギンザシックスや和光本店に発売直後の3月と、緊急事態宣言明けの10月に足を運びましたがいまだ白樺に出会えていません。
ネット上では数か月待ちとの声も聞こえます。
6. まとめ
2021年3月に発売され、早くも雪白に次ぐ人気モデルとなりそうな「SLGH005」についてご紹介しました。
定価100万円超えとなかなか手の出しづらい金額でありながら、白樺ダイヤルに一目惚れして衝動買いしてしまう人も多いと聞きます。
グッドデザイン賞受賞も納得の才色兼備の一本を、あなたも実際にご覧になってみてはいかがでしょうか。
雪白モデルについて興味ある方はこちらの記事をお読みください。
